2月8日から10日まで、大津市で開催された自治体セミナーに参加しました。
記念講演は、中西新太郎(横浜市立大学国際総合科学部教授)氏の「格差社会の何が問題か」というテーマでの講演。つづいて特別企画として合併を拒否し、自律のまちづくりをすすめる滋賀県日野町の藤澤直広町長のおはなしです。
2日目はそれぞれ分科会に分かれましたが、私は、「自治体民営化の検証と改革課題」に参加しました。
日野藤澤町長にきく 軽トラ町長「自律のまちづくり」への挑戦
日野町は合併を拒否したまちです。人口23,000人、盛岡市とは縁の深い近江商人の町でもあります。合併反対で町長リコール運動のすえ選挙、結果、合併はせず自律のまちづくりを進めています。
自立ではく自律にした理由は、「自分達のことを自分達で決めて行動する」ということから、自律のまちづくりは「住民と行政がともに知恵を出し合い、汗を流して行動する。そして持続発展可能な町を実現する」との考え方によるものです。(自律のまちづくり計画より)
藤澤町長は大変ユニークな経歴の持ち主です。滋賀県庁職員時代は県職員組合の書記長、副委員長を務めたという方で、開口一番に「地方分権なのだから県との関係でもおかしいことはおかしいとものが言える方向になった」と話されました。
合併のメリットについて①合併しないと大変だ②サービスは高く負担が低い③自治の前進ができるとさかんにいわれたが、結果は合併で豊になっていない。逆にサービスは低く負担が重くのしかかり、むしろ自治の機能は後退している。
三位一体改革はどこの自治体も同じで財政的には厳しいが、トータルとしての行政サービスをどう維持するのか、心をひらき共に歩んでいく姿勢でやっている。福田内閣になり潮目が変わり、国全体が税の使い方、負担のあり方をどうするのか大いなる議論が必要になっている。痛みを伴う改革を当然視するのではなく、弱者にやさしい対応に変化し政治の流れが変わってきているとのべました。
自律のまちづくりと今後の可能性については、顔が見える関係を重視しているとして①役場と住民②住民と住民③住民と議会の3点をあげました。人が生きていくうえでは存在と役割が重要でありそのことが生きがいになっていること。そのために参画と協同、行政との信頼関係を大事にしている。自治とは自らが意見を言う、聞く、点検することとし、地域共同体のコミュニティが原点と話しました。
厳しい財政事情で職員の定数削減、給与カットもやっているが、行政サービスの向上のためには必要なところには手を打ちメリハリをつけている。行政は町長のみで進めるものではない。職員との直接対話をこころがけ意思疎通をはかっている。
自治体民営化の検証と改革課題 (城塚健之弁護士)
分科会は、構造改革(新自由主義改革)のもとですすむ「小さな政府」の実態と問題点、今後の方向について城塚弁護士より、各自治体の実例(6件)が報告されました。
公務を民間企業にみたて成果主義とアウトソウシングがすすめられていますが、成果主義は北九州市の生活保護行政にみる餓死事件をうみ、「官から民」では、公務の市場化がすすんでいます。
それらの実態について①市場化テスト②指定管理者③業務請負④公営企業の売却⑤独立行政法人⑥自治体財政健全化法について解明しました。
公務の市場化が、コスト減になるのかという点では、ふじみ野市の事故にみられるような損害賠償責任や官製ワーキングプアを生み出していること。公共財を特定企業の利潤追求の道具にし地域経済を疲弊させていいのか、などなど問題を明らかにしました。
特に偽装請負と派遣の問題 では、学校給食の民間委託は偽装請負で本来は派遣になること。公立病院ガイドラインは再編ネットワーク化をいっているが、実は公立病院はいらない、なくすという方向が基本になっていると述べました。
各自治体からの報告
1、兵庫県自治体職場の非常勤職員の実態調査
2、大阪府の自治体構造改革
3、民間移管を受けた認可保育所の状況と課題
4、医療PFI
5、指定管理者制度導入における事業団職員組合の闘いについて
6、事業・施設仕分けの狙いを見抜いて