11月1日、2日と盛岡市上下水道経営審議会委員として会津若松市、山形市の水道事業について視察しました。
盛岡市は、経営改善の一環として、浄水場は夜間と休日に限り委託していますが、今後の対応の参考にと全面委託化に踏み切った会津若松市と自動運転(無人化)を行いつつ直営で対応している山形市について視察研修しました。
会津若松市は、人口減少と企業による大口需要が大幅に減少した中で水道料金の引き上げでは対応しきれないという判断と規制緩和による水道法の大幅改正により「取水から蛇口まで」の全部を委託。運転管理業務は株式会社明電舎に送・配水維持管理業務は地元の管工事協同組合が主体の会津若松市水道サービス株式会社に委託しています。
委員からは異常事態への対応や技術の継承、災害時への対応などの質問が出されましたが、異常事態へは監督員として5名の職員を配置し委託企業の責任者を通して指示をしている。災害など緊急時のために人の配置はできない。職員体制が少ないために技術の継承はむずかしいなどといとも簡単に答えました。
市民の命を預かる水道事業に対して最終的に誰がどのように責任をとるのか?ここまでやるか?かと疑問が大きくなりました。
山形市は、平成4年度から見崎浄水浄をコンピューター監視制御システム化したのを機に、老朽化した浄水場の改築にあたって順次6施設を無人化し、 無人化にあたっては、セキユリティの強化(敷地外周にフェンス、覆蓋施設、センサー設備の設置)を図っています。
無人化によるメリットは、各種操作の迅速化、監視頻度の低減などを上げていますが、最大の効果は職員の削減による経費節減です。また、デメリットは自然災害時への迅速な対応が難しい(人員削減の中で)こと。設備投資が増大しそれに伴うメンテナンスコストが大きいことなどあげていましたが、総合的に判断し無人化に踏み切ったということです。
また、外部委託化のもとで給排水管の修繕や漏水調査などの技術の継承が難しくなっており、これらの解決のために「水道技術研修施設」(25年4月から)を活用し若手の技術者の養成、技能の研鑽にあたるとしています。民間企業にも利用できるよう門戸を開く予定です。
規制緩和政策のもと市民のいのちを預かる水道事業までもが企業の営利の対象とされることに疑義があります。
山形市は、最終的に市の責任を果たすという立場から直営を守ったケースですが、盛岡市としても施設の老朽化・改築が迫られている中で対応が求められており、今回の視察は大いに参考になりました。
(写真上:山形市で説明を受ける 上:会津若松城をバックに)
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