8月4・5・6日と日本共産党盛岡市議団の行政視察でした。昨年は、腰痛のために参加できず、5人の市議が揃っての視察は久々です。
釧路市では、生活保護行政の自立支援プログラムの取り組みについて勉強してきました。
釧路市の平成20年度の生活保護率は、46、1パーミル(人口千人あたりの受給率)で、これは市民21人に1人が受給している計算で非常に高い数値です。
特に離婚率が高く、母子世帯の受給が他都市に比べて2倍の高さという報告に驚きました。
全国的に、貧困と格差拡大の中で保護受給率は増加しているものの、釧路市のケースは特別に高い比率です。その要因は、平成14年の太平洋炭鉱の閉山と漁業が基幹産業ということによる不安定な収入が根底にあるということです。
急増する受給世帯、追いつかない現場のケースワーカーの体制から抜け出すためにも真剣な自立支援が求められていました。
母子世帯への自立支援は、当事者の自立する意識を醸成することを大事にし、最初から就労ということではなく、ボランテイア活動から徐々にステップアップし就労につなげていくというプログラムで、本人の自立意欲を引き出すていねいな対応です。
ボランテイア委託先は現在12か所で、社会福祉法人(介護施設など)、NPO、財団法人ということです。動物園や公園管理、廃材分別作業、介護ヘルパーさんの補助等などあります。
同時に母子世帯の自立にはこども支援が欠かせない対策ですが、釧路市は、中学3年生の居場所づくりとして「高校へ行こう会」を立ち上げ支援しています。
このプログラムは、保護受給家庭の高校受験に向けた支援活動ですが、実際の中身は居場所づくりということで大人も子どもも孤立させないということを重視しています。
驚いたことは、保護受給者がボランテイアで勉強を教えるチューターになっているということです。外出する機会が少ない人たちが子どもと向き合うことで、生きがいをみいだしていることなど感動的なお話しでした。
今日、自立支援プログラムは母子世帯から全ての保護受給者へと大きく広がりました。自立とは働いて生活費を稼せぐということだけではなく、自分を活かし、あてにされ、社会とのつながりを通して自分を確認することと言いきった担当職員の崇高な思いに心打たれ、実り多い視察となりました。