党県・市議団は、10月3日に葛巻町の自然エネルギー・再生可能エネルギーについて視察してしました。当日は岩手山が初冠雪した翌日でありとりわけ寒さが厳しく、風力発電視察では横なぐりりの雪で震え上がりました。
(写真下:説明をうける県議団と市議団)
葛巻町は、地域資源を生かしたまちづくりと温暖化対策を契機に平成11年度に新エネルギービジョンを策定し再生可能エネルギーの導入に踏み切っています。
北上産系開発による大規模牧場開発が下地になったという1000㍍級の高地での風力発電、葛巻中学校や介護施設などへの太陽光発電の設置、町内で飼育する乳牛の排せつ物等を発酵させ生じたメタンガスから発電する「畜ふんバイオマスシステム」(出力37キロワット)は町が事業主体となり03年から稼働しています。
売電はしていないが、堆肥(たいひ)を農地に還元しており循環型酪農経営としても注目を集めています。
(写真下:太陽光パネル、太陽熱利用、地下熱利用のモデルエコハウス)
林業の活性化と結びつけた木質バイオマスの利活用では、チップ化した間伐材を不完全燃焼させ生じたガスから発電する「木質バイオマスガス化発電」や、製材過程で出る樹皮などを砕いて2~3センチの円筒状に圧縮した木質ペレットを燃焼させる「ペレットボイラー」を備えた施設などをそれぞれ見学してしました。
風力発電では、町が25%出資するエコ・ワールド株式会社と電源開発が100%出資した株式会社グリーンパークくずまきの2社によるもので全量売電し、電力自給率は160%にのぼっているということです。
(写真下:畜ふんバイオマスシステム液体肥料タンク)
ただし、町の収入は民間企業であるため固定資産税収入が2000万円ほどあるのみで、この8月26日に成立した「再生エネルギー特別措置法」により可能性が拡がったとはいうもが、送電事業を電力会社が握っているために地産地消とはならず、町民には電気料金などでのメリットはないということでした。
メガソーラーや風力発電にしても県外企業が設置し、地元には固定資産税ぐらいで売電益が県外に流れるようでは、地域の再生につながらず、エネルギーの地産地消と言えません。 県や県内企業、県民が共同出資するエコファンドの設立や、住民の共同出資を後押しする仕掛けが必要だと思いました。
(写真下:風力発電)
また、太陽光発電システム設置の補助制度を03年度から地球温暖化対策として実施している、上限を9万円とし1キロワットあたり3万円の助成と太陽熱利用設備にも実施するなど町独自に新エネルギー導入への補助制度が各種取り組まれていて、エネルギー自給率100%をめざしエネルギーの地産地消にとりくんでいます。
今後は、東日本大震災を経て避難所となる25カ所のコミニュテー施設への太陽光発電と蓄電池の設置、役場や病院などの行政機能保全のために自然エネルギーの活用などを検討するとして、メリットを町民が実感できる対応を考えていくということでした。
今回の視察では、温暖化ガスの削減や原発ゼロ社会をめざすことと同時に自然エネルギー活用が実は地域経済を循環させ地域の再生につながる対策であるということを学ぶ機会になりました。