アメリカ事情①
徹底した車優先の社会(04年12月後援会ニュースより)
我が家のムコは、アメリカはジョウジア州サバナ市出身だ。日本で約6年間暮らし、今年の4月にムコが、10月には娘と孫がアメリカに引きあげて行った。
余談だが、サバナ市といえば今年の8月にG8(世界先進国首脳会議)が開催されたが、ムコが言うには、開催期間中は、街中に戦車が配備され、銃を構えた兵士があちこちで監視するものものしさだったとのこと。
娘のアメリカ永住を機に家族で米国に出発したものの、なにせ自由と民主主義の国アメリカは初めて。見ると聞くとでは大違いのアメリカ事情についてシリーズでお知らせしたいと思います。
サバナ市は人口50万人の都市で、アメリカ入植当時の古い町並みが残る観光都市です。観光バスが往来する活気ある街で、ムコの住まいは中心地から10㎞ほどの郊外にある。
買い物はモール(大型店)が主流だが、近場にはスーパーもあり買出しは全て車で出かける。
試しに、近場のスーパーまで健康のためにと歩いて出かけたものの道路には歩道がなく、約10分程の道のりだったが危険で、道路脇の草むらに足がとられ歩けたものではない。ちなみに子どもたちは通学バスで学校に通っている。(事件回避もあり)
以後、気を付けて見たが郊外の道路には、ほとんど歩道と名のつくものはなく、同時に歩行者も見かけることはなかった。
もちろん、電車、バスもあるにはあるが、時間があてにならず利用者がほとんどないとのこと。これでは歩く機会の少ないサバナ市民は肥満に拍車がかかり、巨体?をゆすりモールの中でも電気自動車を運転することに・・・
アメリカ事情②
国民の8割が肥満の国 (04年3月号後援会ニュースより)
典型的なアメリカ南部の都市であるジョージア州サバナ市は、人口50万人で52%が黒人だ。
綿花の栽培等で強制的に連れてこられた人々の末裔が多数占めているのだろうか? またお隣のブラジル、メキシコ、ペルーなど南米からの移住者、いわゆるヒスパニック系の人々も多く、アジア人も見受けられたが、日本人とは観光客以外には会うことはなかった。
滞在中、2日間だけジョージア州の首都アトランタ市を訪ね、映画「風とともに去りぬ」の舞台となった土地や作者ミッチエル氏の記念館を見学した。
希望を失わず、明日を信じ生き抜こうとする主人公、スカーレットの生きざまもさることながら、黒人奴隷の収奪で成り立つ南部の上流階級の生活ぶり、黒人社会が音楽などの文化に深く影響を与えたことなど、多くを学ぶ機会となった。
ムコは、アトランタ最大の地下街を案内してくれたが、行き交う人々はすべて黒人だ。私はつい「白人はいないのか」とバカな質問をしたが、ムコのいうには、法的には人種差別がなくなったとはいえ、すぐに人間の意識は変わらないこと。黒人の側もこの場所に集う方がやすらぐのだと、説明してくれたことが印象的だった。
世界に冠たる消費大国アメリカ、巨大モールがいたるところにあり、商品が天井までうず高く積まれる様は圧巻だ。 とにかく、牛乳、ジュース、お茶などはすべて1ガロン(4㍑)単位、私流にいえば一斗缶なみのポリ容器入りで、肉はすべて巨大なブロック売りなのだ。
レストランでは一人前がとても食べきれない量で、我ら親子四人で二人前を分け合って食べて丁度いい位なのだ。
お菓子は甘すぎて食べられる代物ではなかった。
巨人の国に来たかとみまがうばかりで、これらを平然と食する人々は、縦ばかりではなく、横にも大きく「成長」し、まさに国民の8割が肥満と言われるゆえんとうなづくことしきりだった。
すれ違うたびに、ゆさゆさ揺れる巨大なお尻につい目がいき、小錦張りの女性がそこかしこに歩くさまは、110㌔のわがムコがスリムに見えるのだった。
アメリカ事情③
社会保障のない国 アメリカンドリームはいずこ
(05年4月号後援会ニュースより)
前クリントンア メリカ大統領夫人が、医療保険制度の創設を訴えていたことが蘇ってきたが、アメリカに行って本当に驚いた。公的な医療保険制度がないのだ。
娘は6ヶ月の身重で何をおいても医療機関を決めなければと勢い込んでいたが、日本のようにあの先生がいいからと勝手に決められるシステムではなかった。
医療保険はそれぞれ勤め先ごとに民間保険に加入し、保険の種類により医療機関や医師が決められている。
医療行為も保険の掛け金(種類)により、いわゆるお金の過多で基準が決まり松竹梅の差がつけられるしくみだ。
娘夫婦の場合は、手続きに時間がかかり結局2ヶ月間も放っておかれた。
いざ出産となると保険が適用されるのかどうか確認しないと後でとんでもない治療費が請求されるはめになる。
約1週間は入院する日本の出産と違い、アメリカは医療費がかさむということか1~2日で退院させられ驚いた。
一体、緊急時はどうなるのか、日本の感覚ではとても想像できない。
ムコに聞いたら、風邪やチョットしたけがは売薬で済ませるというが、国民の4割が医療保険を持たない国で、これらの人々は結局、野垂れ死になのか?・・・
アメリカンドリームを追い求めた人々の多くが、社会保障のない国で、貧しさの連鎖から抜け出せない実態を垣間見た気がする。
アメリカ事情④
アメリカ人の生活の知恵 (05年7月号後援会ニュースより)
アメリカでは、外食がことのほか安い。一人8ドル(900円)も出せば食べきれない分量のものがオーダーできる。
せっかくアメリカに来たのだからとアメリカ牛のステーキを頼んでみた。早速ウエートレスが焼き加減は?と聞くので「レァ」(生焼)と胸を張った。とたんにレァは出来ないとの以外な返事。
ムコに聞くと「アメリカではレァを出すためには特別な許可が必要でコックも特別の資格が求められる」という。そういえば卵でも同じようなことがあった。
ムコはじゃじゃ麺が大の好物だ。アメリカまでみそやら材料を持ち込み作って食べたが、チータンタン(ス-プ)を飲む段になって生卵はだめだという。
アメリカの生卵は80%がサルモネラ菌に汚染されているというのだ。
日本の感覚では、汚染されたものが巷に出回るなどとは考えられない事だ。なるほど牛肉も下手にレァなど頼もうものならBSEを覚悟で喰らうことなのかと変に納得したものだった。
日本は、BSE問題でアメリカ牛肉は輸入禁止になっており、あくまでも全頭検査を要求している。しかし、アメリカの食糧事情は、見てきたように全頭検査などは夢のまた夢。米国民は最初から危険と隣り合わせを承知で「生食では食べない」と、生活の知恵を働かせているのかと了解した。
何事も大ざっぱな国民性は良しとしても食べ物だけはいただけない。
アメリカ事情⑤
無分別なごみ対策
地球温暖化が言われて久しい。
CO2 をいかに削減するか世界各国がその対策に躍起になっているが、アメリカはかなり消極的だ。なにしろブッシュ大統領の後楯が石油会社の元締めとなれば腰が引けるのであろうか。
温暖化対策のひとつにごみ問題があるがサバナ市に行って驚いた。ごみと名のつくものは全て生ごみからびん・缶まで何もかにもいっしょくたんに捨てている。
サバナ市民は(アメリカ人)はパーティー好きだ。パーティーで使われるものは大体が使い捨て食器で、各家庭では紙コップや紙皿、プラスチック製のナイフやらフォーク、紙ナプキンなど大量にストックしている。
パーティーの後片付けは手間いらずで、大量のびん・缶、ペットボトル、食べ残しなどなどがごみになる。各家庭にはドラム缶の底にキャスターがついたような巨大な鉄製のごみ箱が備えられており、回収業者が週一で回収して回る。その集め方もダイナミックで、キャスター付の「ごみ箱」をクレーンで吊り上げ、回収車に空けていくのだ。
ごみの行方が気になりムコに聞いてみたが、答えは「?」であった。
日本と違いアメリカは公的サービスが極めて少ないお国柄だ。当然、ごみを捨てるのにもお金がかかる。各家庭は、月3千円程で業者と直接契約するシステムだ。サバナ市民がごみの行方などに感心がないのはシステムそのものにあると理解した。
ゴミは分けて捨てるという常識から無分別のやり方にはかなりの抵抗があった。
盛岡方式(分別)が染み付いた身には、無駄と知りつつも気がつけばサバナ市でも分別に精を出し、アメリカのごみ対策を嘆くことしきりだった。